古代には堅い木の葉の大きなものを選んで食べ物を盛った。
『万葉集』に「家にあれば笥に盛る飯を草枕、旅にしあれば椎の葉に盛る」とあるが、椎ほ葉も「堅し葉」なのだ。
しかし、もっとも利用されたのが、柏の葉だった。
柏の字は槲とも書く、適当に大きく肉圧でしなやかだ。
そこで柏が食器専用の葉となっていった。
民間にわずかに残るその痕跡は柏餅くらいのものだろう。
朝廷の食膳を司る役人を膳夫とも呼ぶのもここから来ている。
家紋としての使用家は、神宮では三重県の伊勢神宮の久志本氏、愛知県の熱海新宮の千秋氏、岡山県吉備津宮の大森氏、福岡県宗像神社の宗像氏などがある。
公家では神道で朝廷に仕えたト部氏とその後裔の吉田、藤井、萩原、錦織の四家が使用。
柏紋は普通は葉を文様化してるが、中には実や枝をつけたものもある。
葉の数は一葉から九葉まであり、形は「対い柏」「抱き柏」「違い柏」などがある。しかし、最も多いのは「三つ柏」と「抱き柏」だ。
これに蔓が生えているのを「蔓柏」という。
「三つ柏」は七福神の恵比須さまが、この紋を用いている。
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